もともと、寿命が合わないという事は考えていた。



俺がガキの頃に見たあんたと、城に入ってから見たあんたと、今目の前にいるあんたの、違いを挙げろと言われたらとても困る。
何も変わっていないからだ。
九尾という時点で異常なのだから、きっと寿命も長いのだろうと勝手に判断して理解した。
その後、城の帳簿を見て、あんたのいない年を探すのが不可能であることを知った。
どんだけ生きてんだ。
単純な興味とか、驚きだけがそこにはあった。
その時は、だって、あんたを見てるだけで精一杯だったから、それ以上の事なんか考える筈もないだろ?

でもまあ、そんで、あんたとめでたくイロイロ出来るようになって、愛してる、なんても言ってもらっちゃったりして、舞い上がって、そしたらふと、思い出した。
そうだよ、あんた、俺より絶対長生きじゃん。
俺の方が後に生まれたけど、俺の方が先に死ぬんだ。
俺も長生きだったらよかったのになあ、とか、ちょっとだけ残念には思ったけど、そんなに悔しいとかは思わなかった。
問題は、あんたがまたひとりになっちまうことだ。


二親は物心ついたと同時に死んで、双子のお姉さんはあんたを捨てた。
寝物語に、だったら格好がつくもんだけど、メシ食いながらあんたは話した。
何のこともなく話した風だったけど、あんたはずっとひとりだったんだな、とかそん時俺は思った訳だ。
そんでそれが、嫌だったんだ。
覚えてるって事は、気にしてるって事だ。
今は俺がいるけど、俺が死んだらあんたまたひとりじゃん。
それってどうよ。

だから、今度こそ寝物語、じゃあないけどベッドで言った。
俺が死んだら、あ、死んだらだぜ、生きてる内はダメな、死んだら、ちゃんと次の奴見つけろよな。男でも女でもいいからさ。
あんたはメタメタに怒って、その後メタメタに抱かれてしまった。


そんな事を言ったりやったりしてすぐ後だったと思う。
身体が腐って?きた。
あーあ。
正直な感想はそれだった。
神様は、自分の作ったものが、そのままのとおりに続かない事が嫌いらしい。
そんで、曲がった所は刈り取るかどうにかするそうだ。
あんたが言っていた事だから信じていたけど、手始めに腕がなんかなっちゃったのを見て、本当だったんだなあ、とか思った。
早いなあ、もうちょっと、アレだ、楽しませてくれたっていいじゃん。
冗談でそんなことを考える。
もともと寿命が合わないことは判っていた。
ということはつまり、俺は死ぬまであんたを失わなくていいんだ、ラッキー、とか思っていた。
これ以上ない充実した人生じゃん。
それが早まっただけだろと、俺は言ったのに、あんたは何でか泣いていた。
わたしさえいなければ、と、あんたは言った。
わたしがお前に応えなければ、わたしが、わたしが、わたしがと、言いながらずっと泣いていた。
あんたみたいな頭良いのでも、考えない事もあるんだな。
そう言ったら今度は、何も言わずに抱きしめられた。俺にはもう腕はなかった。
愛してるぜ、セツナ。
わたしもだ、と返ってきた。
相思相愛。これ以上の事なんて、ないだろ?
そう言ったらやっと、泣きながらだけど、あんたは笑った。
そうだな。そう言った。