空きビンの回収

預り金と回収コンテナでほぼ完全にリサイクル
< もくじ >
ジュースの自動販売機の多さにびっくり
不便だけどやっぱりガラスビン
預り金制度
空きビンの返却
店で引き取ってもらえないビンは?
空きビン回収機
進んだガラスリサイクルシステム

 
 
ジュースの自動販売機の多さにびっくり
ドイツ人が日本へ初めて旅行に行くと、ジュースの自動販売機の多さに驚くことが多いようです。たしかにドイツ国内でジュース、特に缶ジュースの自動販売機を見かけるのはまれです。だいたい、たばこの自動販売機を除けば戸外で自動販売機を見ることはほとんどありません。ドイツは東京などに比べると気温が低いし湿気も少ないので、夏ものどがあまり渇きません。
 
 
 
 
不便だけどやっぱりガラスビン
でも、学校や職場で半日過ごすとなれば何か飲み物が必要になります。大学の学生を見ていると、よく750mlビン入りのミネラルウォーターをカバンに入れて持ち歩いてます。でも、ビン入りの飲み物には不便な点があります。まず、重い。あまり喉の渇かないドイツなら半日750mlのミネラルウォーター1本で十分かもしれませんが日本ではそうもいかないでしょう。ガラスビンを2本も3本も持ち歩くわけにはいかないし、よく割れます。

また、ガラスビンは何度も再利用されるので、ビンの口が小さく欠けていることがよくあります。砕いてリサイクルするほどではないと判断されたビンなのでしょうが、口を切ってしまう心配もあります。
スーパーの飲み物コーナー
スーパーで売られている飲み物はガラスビン入りがおもです。ミネラルウォーターやビールはケースごと買って行く人が多い。
特にミネラルウォーターやビールはケースごとまとめ買いされます。スーパーで買ったあと、車が無ければ歩きか自転車でそれを家まで持って帰らなければなりません。エレベータの無い建物に住んでいれば重いケースを持って階段を上ることになります。そして飲み終わったら今度は空ビンをスーパーに持って行くわけですから、飲みものの買い物は大仕事です。そういった不便さもありますが、ドイツではゴミを出さずにリサイクルを徹底できるガラスビン入りの飲み物が好まれます。
 
 
 
 

預り金制度
ドイツだけでなく、広くヨーロッパでは炭酸水がよく飲まれています。『ビン入りのミネラルウォーター』の大半は炭酸入り。消費量が多くて種類が限られているミネラルウォーターやビールのビンはリサイクルに向いています。スーパーで750ml入りのミネラルウォーターを1本で買うと60ペニヒ(40円)程度、12本をケースごと買うと5マルク(300円)程度と割安になります。これは中身だけの値段で、実際にはそれに加えて預り金を払わなければなりません。この預り金は空きビンを店に持ってきた時に、現金で返してくれます。

預り金

ガラスビン1本
30ペニヒ
12本用のプラスチックケース 5マルク
ペットボトル(1.5l)
50ペニヒ

 
 
空きビンの返却
飲み物のガラスビンでも、預り金の必要なものとそうでないものがあります。飲み物の他にもジャムやヨーグルトなどガラスビン入りの食品がたくさん売られてますが、こちらも同様です。空きビンを返す時注意しなければならないのは、その店で扱っている種類のビンでないと引き取ってくれないこと。店にとっては、多種多様な空きビンを回収するのはやはり手間だし、扱っていない種類の空きビンは業者に返す時に困るわけです。

普通のスーパーでは、空ビンを返す時、ベルを鳴らして店員を呼びます。店が忙しいとなかなか来てくれず、長く待たされることもしばしば。店員さんがビンを1本ずつ種類ごとに分けて、合計の金額を書いた紙を渡してくれます。

最近は、自動の空きビン回収機を備え付けるスーパーが増えています。(もっとも、この機械で回収されたビンも機械の後ろで人の手によって選り分けられることになりますが) ビンを入れ終わってボタンを押すと合計金額が印字された紙がでてきます。
_
スーパーに置いてある最新型(?)空きビン自動回収機

1本ずつ入れる時は上の穴に、ケースごと戻す時は下の投入口に入れます。中にはベルトコンベアーがあって、ビンやケースはゴトゴトと店の奥のほうへ。店で扱っていない種類のビンは受け付けられず、ベルトコンベアーが逆に動いて投入口に戻ってきます。

最後にボタンを押すと預り金の額が印字された紙が出てくるので、レジに持って行けば預り金を現金で返してくれます。


 
 

店で引き取ってもらえないビンは?
預り金が必要でないガラスビンは、街のあちこちに置いてあるガラスビン回収コンテナに捨てることになります。茶色、無色(コンテナの表示は白)、緑色の3つの投入口があり、ビンを1本入れる毎に、ガチャン!ガチャン!と大きい音。投入口には『ガラスを捨てていいのは朝の7時から夜の7時まで』と書いてあります。
 

寮の向かいにあるガラスビン回収コンテナ

投入口は茶色、無色、緑の3つに別れています。中をのぞいてみると、間違った色のビンが入っていることはほとんどありません。でも、回収される時はなぜか茶色と緑色が一緒。 ビンを捨てていい時間の他に、『ゴミ、陶器、磁器などを捨てないように!』と書いてあります。

実は、私が住む学生寮の向かいにもガラスのコンテナが置いてあります。誰かが夜中にビンを捨てたりすると、向かいに住む住民が窓から顔を出し『夜はビンを捨てるな!』と叫ぶことも。近くに住む人は毎日大きな音を聞かなければならないのですから大変です。

月に1度ほど専用のクレーンが付いた市の回収トラックがやってきて、空きビンを回収して行きます。コンテナの投入口は3色に分けられているのですが、トラックの荷台はなぜか2つ(“無色”と“茶色+緑色”)にしか分けられていません。再処理工場の都合なのだと思います。
ガラス回収の様子
月に一度こうした回収トラックがやってくる。フックが3つついた特殊なクレーンを使います。約5分ほどで回収が終わりますが、作業の手際は抜群! 職人芸です。
こうしたコンテナに捨てられる緑や、茶色のビンの多くはワインです。ワインの消費量はばく大ですが、ビンの種類が多く、外国からもたくさん輸入されるので、リサイクルのシステムが作れないようです。
 
 
 
 

空きビン回収機
大学にもビンのジュース自動販売機が置いてありますが、その近くにはかならず空きビンの回収機も置いてあります。返ってくるお金は20マルクか30マルク(機械によって違う)。 この機械は自動的にビンの判別をするわけですが、受け付けられるはずのビンでも、はねられることよくがあります。回収機の判別装置はあまり賢くありません。また、回収機がいっぱいになっていることがよくあります。回収機を設置している業者もビンの回収はあまり熱心でないように感じます。それだけ手間がかかるということでしょう。
市民講座(VHS)の建物の中にある
空きビン回収機

のっぺらぼうで、初めて見る人はなんだか分からないと思います。この回収機はずいぶんきれい。大学に置いてあるのはものすごくオンボロで汚い。

ビンを入れた後、扉を手で閉めます。すると、ビンが中に取り込まれ、30ペニヒの預り金が返ってきます。

例えば、隣にある自動販売機でオレンジジュースを買うと値段は2マルク。そのうちの30ペニヒは預り金で、1マルク70ペニヒが実際の値段ということ。


 
 
進んだガラスリサイクルシステム
ガラスビンの預り金や、市によるの空きビン回収など、ドイツのガラスビンリサイクルシステムはとても進んでいます。制度だけではなく住民一人一人のリサイクルに対する理解が深いので、ガラスビンのリサイクル率はほぼ100%です。ドイツでは店で買う飲み物といえば、缶ジュースではなくリサイクルできるガラスビンが主流。いろいろな点で日本も見習えると思いますが、みなさんはどう思いますか。
このページ<空きビンの回収>のトップ | <環境のはなし>のもくじ | 表紙ページ

Copyright 2000 MATSUDA,Masahiro. All rights reserved.