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2.1 教育大学の学校の庭

カールスルーエ教育大学の学校の庭が作られたのは1985年。現在は生物学部のレナート教授が責任者となり、教員2人と実習に加わる2クラス約40人の学生が管理運営を行っている。面積は1600平方メートルで、大きく“畑の区画・ビオトープの区画・体験の区画”の3つに分かれる。
 

【 庭を構成する3つの区画 】
◇ 畑の区画 子供たちが使っている畑もここにある。教育大学の学生が実際に農作業を行う畑、ハーブ畑、温室、農具小屋、大きなひさしの下にテーブル・椅子、コンポストなど。
◇ ビオトープの区画 池と小川、草原、砂地、低木の茂み、蜂が巣を作れる土壁など、いろいろなタイプのビオトープ。
◇ 体験の区画 素足で歩く小道、花壇、ハーブなどがあり、五感を使って自然を体験できる空間。

ここは教育大学の学校の庭なので、普通の小中高校の学校の庭とは内容と目的が違っている。まず、規模が大きく、設備が整い、管理状態が良好で、植物相が多様である。そして、ここで実習を受けた学生達は将来小中学校の先生となるので、庭の主な役割は『学生の教育』だ。
 

【 この庭の役割 】
◇ 学生の実習の庭 実習を通して、学校の庭の管理・運営方法を学ぶ
◇ 学校の庭のモデル 小中学校で学校の庭を作る時のモデルとなる
◇ 教員研修 一般の教員が、この庭へ来て短期の研修を受けることができる
◇ 小学生の学校の庭 小学生が学校の庭として利用し環境授業を行うこともできる
◇自然を学ぶ公園 平日の日中は一般市民にも開放
ビオトープに親しむことができる公園

特に興味深いのは、ここが学生と子供たちのコミュニケーション空間になっていること。次の章で触れる庭の公開日などで、学生が子供たちと一緒に活動する機会も設けられている。学生はそうした経験から学校の庭を使った教育方法について実地に学べる。『子供たちが学校の庭の中で何に興味を持つのか?』そして『環境授業に対する子供たちの反応』も実際に観察できるわけだ。

また、この庭はは市民にも開放され、平日9時から夕方6時まで中を散策することもできる。街には花と芝生のきれいな公園がたくさんあるが、小魚が住む池・昆虫のための花の草原などビオトープを含んだ公園となると少数だ。市民が多様な自然を学べる公園としても重要である。

 
入り口の看板
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学校の庭
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レナート教授
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ハーブの花壇
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写真:庭の入り口に看板が立っているが、その絵が『庭のコンセプト』を実によく表している。  
匂いをかぐ / 触れる / 見る / 足の裏で感じる / 味わう
など、人間の五感をすべて使って自然を体験することができるような庭が作られている。
 

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砂地のビオトープ
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素足で歩く小道
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2.2 庭の開放日

2年E組がジャガイモを収穫する前週の金曜は、ちょうど教育大学の庭の特別な開放日。学生がグループ毎にプロジェクトを担当し、教員と共に一般市民向けに学校の庭の活動を紹介してくれた。訪れたのは一般市民の他、学校の庭に興味を持つ教員、中学・高校の生徒、子供連れの家族など500人ほど。

2年E組もいつもの時間に学校の庭に到着。今日は、特別楽しい催し物が一杯だ。
   ・リンゴジュース作り
   ・ジャガイモのスタンプ作り
   ・顕微鏡を使った花の観察
   ・ハーブの小袋作り
   ・果物の木に吊るす益虫のための巣作り
   ・ハーブ酢作り
   ・植物の名前当てクイズ、etc.

学校の庭を使った小学校低学年の環境教育は遊びが基本だが、どのように授業を組み立てていくかは先生のシェーファーさんも試行錯誤の連続だそうだ。その日になってみなければ天気はわからないし、一学期を通した完全なカリキュラムをあらかじめ立てることもできない。庭の開放日の催し物は、大学の教職員と学生達が準備をしたものだが、学校の庭でどんな授業をできるかヒントがたくさん含まれている。

 
益虫の巣
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小屋の雨水タンク
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顕微鏡で花の観察
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ジャガイモスタンプ
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ジャガイモスタンプ
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リンゴジュース作り
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ハーブの匂い袋作り
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満足!
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2.3 庭の管理

春に日本から視察に来た方を連れてこの庭を訪問し、レナート教授から説明を受けたことがある。外国からの見学者も多く、日本人グループは今年計3組が訪れるそうだ。「国内より、外国からの見学者のほうが多いんだ。」と教授。なるほどそういうものかもしれない。教授によれば、学校の庭を使った教育は旧東ドイツの方が盛んなのだそうだ。ドイツ統一前、旧東ドイツの小中学校には学校の庭の設置と授業が義務付けられていた。ドイツ統合によって教育を含めた東ドイツのシステムはすべてが否定的に考えられがちだが、こと学校の庭に関しては統合ドイツもそのシステムを見習うべき点がたくさんあるようだ。

現在、バーデン・ヴュルテンブルグ州では、小学校2年から5年生のカリキュラムに学校の庭の授業を取り入れることが奨励されている。ただし、学校の庭の設置は義務ではないし、学校によっては敷地内にそのスペースが無かったりする。もっとたくさんの学校に設置されてもいいと思うのだが、誰が中心となり管理運営していくかがかならず問題となるようで、なかなかすべての学校が設置するまでには至っていない。

「問題は予算? それとも学校のスペースですか?」と教授に聞いたところ「いいえ。一番大切なポイントは学校の庭を作るときの、子供達、教職員、父母のやる気と努力。それから、学校の用務員さんの協力がとても大事。休みの期間など、用務員の協力が無ければ植物は枯れてしまうから。」 カールスルーエ市では2年前に学校の庭のコンテストを行い、その冊子も作っている。その冊子を頼りに学校を訪問すると、すでに荒れている庭もある。積極的な先生が転勤してしまうと庭の維持に問題が出るところも多い。

 
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